電車に揺られるのは嫌いじゃないし、
窓の外を流れていく風景を眺めているのは楽しい。

東京の風景は、不景気と云いながら高層マンションが所構わずに建てられていく感じ。
「持っている者」達だけが届く、高い高い空に手を伸ばした塔の様。
紙切れの上、電気信号の上、そこで数字を動かしているだけの、何も生産されない新たな泡に、翻弄され、支えられているみたいな塔だけれど。

この冬の間、鉄道はよく止まった気がする。私の乗った帰宅時の電車が、途中で急停車したこともある。その多くが「人身事故による」とアナウンスされた。
変に勘ぐりたくはないけれど、何処に向かって手を伸ばしたらいいのか解らなくなっている人々も、新たな塔が建てられる位の速度で増えている気がする。

そんなにも何かを犠牲にしていかなければいけないんだろうか? 
慌てることはない。一つ一つ確認して進んでいけばいい。
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